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2016.05.01 SUN - 読書ブログ

ブラックバイト 今野晴貴さん著 日本のブラック化は日本が国家間の戦争で負けている証

51gihtuACALブラックバイトという本を読んだ。ブラック企業というベストセラーを書いた今野さんという人が書いた本だ。今野さんはは、NPO法人「POSSE」代表理事。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍(労働政策、労働社会学)という人。

この人の本は全部読んでる。ブラック企業、ブラックバイトの特徴は

・残業代が支給されない(その他法律が守られていない)
・辞めれない
・辞めるというと損害賠償を請求してくる

というものがある。要するに違法と言う事だ。残業代が支給されない、と言う問題について、経営者をやってる読者の私としても考えてみた。長時間労働でも残業代支給100%で、社員が体調を崩しそうになったりしたら休めて、有休も使えて休日も労働基準法内として最低限取られているならそれはブラック企業ではない。でも、多くの企業は残業代を100%ろくに払っていない。

私自身経営者だけど、残業代を支給100%するのはとても大変だ。私の経営する会社は昔、9時〜21時頃まで働き、土曜日出勤も当たり前だった。その頃も残業代を100%支給していたので新人でも給料は26〜30万近くになる。今はそれを辞めて土日休み9時〜18時勤務に変えたけど、残業禁止にしても『残業したがる社員』が出てくるので社長の私が『仕事をしちゃ駄目』と言わないと残業が減らない。なんせ、残業禁止、と言ってもオフィスに残ってお客さんのために仕事をしていたら残業になるし、当然賃金も発生する。

41qS-pgPPzL残業を完全に100%支給することは計算することも大変だし、残業しようとする社員にしっかりNOを言うのも大事。100%残業を支給する、順法するというのは当然守るべき事なのだけど、事務コストも上がり本当に大変だ。想像以上に労働基準法を守るのはコストがかかる。無論、だからと言って違法でいいわけもなくしっかり守る必要がある。

次に、辞めれない、と言う問題について。さらに、辞めようとすると損害賠償請求をされるという問題について。

これは本当にビックリする。辞めて損害賠償請求が出来るなら俺もやりたい(笑)でも違法だからやらない。仮に合法になってもやっちゃだめだ。しかし、辞めた社員に損害賠償請求が出来る、ということが合法化されたらやるだろう。スタッフを雇うために求人広告費やその他採用費用が一人あたり50〜200万円かかり、その上で給料やら何やらが年間300〜500万近くかかる。そしてその社員が期待した成果も出さないまま辞めたら・・・コノヤロウ!!になります。

でも、女の子と付き合うために高価なプレゼントを贈り、そして付き合ってる最中にもデート代を全額出していたからと言って、フラれたらデート代を請求出来るのか?出来るわけがない。更に、浮気でもされてふられた日には『コノヤロウ!!!』となるけどそこでぶん殴ったりしたらそりゃ違法だ。傷害罪だ。リベンジポルノなんてもってのほかだ。

辞めようとする社員やバイトを辞めさせない、更に辞めたら損害賠償請求なんてとにかくおかしい。気持ちは判るけど、違法出し駄目。更に言えば仮に合法になったとしても『辞めたら損害賠償請求』なんて会社は長期的に残れない。あの会社に応募して採用されたら最後、辞められないし、辞めるときは損害賠償されるぞ・・・なんて会社はそもそも応募が行かなくなる。そうするとますます採用コストが上がり、人が採れなくなり・・・という悪循環に陥って最終的にビジネスが回らなくなるだろう。

51z0PgzgTSLそれでもブラック企業もブラックバイトも増えていくだろう

じゃあ、ブラック企業が減っていくのか・・・というと残念ながらそうはならない。キチンとした大人からみたら、バイト辞めたら損害賠償請求なんてアホか、の一言。出るところに出て弁護士立たれたら負けるのは絶対にブラック企業の側。そもそも違法だし、会社が勝てるわけがない。

それでも減らないのは何故かというと

・辞めたら食っていけないから

というのが最大の理由だ。バイト辞めたら損害賠償請求なんてアホか、じゃあ、弁護士立てますね。と言えるバイトはどれくらいいるんだろうか?ブラックバイトの著者である今野さんのNPOに駆け込んだら親身に相談にも乗ってくれるだろうし、相場より安い価格で法的手続きもできるかもしれない。仮に法的手続きにかかる費用がゼロ円になったとしても、法的手続きをするために本人が時間を取る必要がある。その為に数日なのか数週間なのか、長ければ数ヶ月間時間も気も取られることになる。

その期間分の生活費の貯金が合ったりする人は皆無だろう。そもそもバイトしないと学費が払えなくて大学に行けなくなる・・・なんてことになったら嫌々でも働く事になるだろう。

FullSizeRender 61最大の問題は日本経済全体の地盤沈下〜三菱自動車はブラック企業か?〜

最近起きたニュースで消費者を違法に裏切った事例として大きな物は三菱自動車の燃費不正表示問題がある。日経新聞によると1990年代最初の頃から三菱自動車は軽自動車の燃費データの改ざんを行っていたようだ。1リットル15キロ走りますよ〜と宣伝してたけど、実際はそれよりも性能が低い。にもかかわらずそれを販売していた。これは大問題だ。

三菱自動車は売上で2兆円を超えている。ブラック企業やブラックバイトで良く問題に上がる飲食店の大企業、すき家を経営するゼンショーですら売上は5000億円程度もない。マクドナルドでも売上は2000億行かない。ブラック企業と言えばワタミ!というくらい代名詞になってしまったワタミは1500億円程度。飲食業界の大ブラック企業達が束になっても勝てない。それが三菱自動車だ。

そんな三菱自動車ですら、トヨタなどに比べると研究開発費が余りにも安い。

15年度の国内8社の研究開発費見通しでも、トヨタ自動車が1兆円、ホンダや日産自動車も5000億円以上。富士重工業は1015億円で、販売台数は同じ100万台規模でも三菱自は820億円と見劣りしている。

下記より引用
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160426-00000000-fsi-bus_all

とある。すき家のワンオペが問題になったことがあるが、三菱自動車の研究開発部門はこれとにたような物だ。少ない予算、人員で『トヨタに勝て』と言われても出来ない物は出来ない。だけど、これじゃ無理だ!と言ったらクビになるし、心ある研究者はおそらく言ったけど黙殺されたか左遷されたか辞職に追い込まれただろう。そして正直に燃費を言ったら今度は消費者が買ってくれない。

超大手ですらこのような問題を抱え始めたのが1990年最初の頃、というのが非常に印象的だ。1990年と言えばアメリカからの圧力によって日本に総量規制が実行され、バブルが無理矢理はじけさせられて日本経済が大打撃をおっていた頃だ。総量規制は1990年3月に当時の大蔵省銀行局長土田正顕から通達されたものだ。これによって銀行が貸したくても貸せなくなくなった。

日本のブラック化は日本が国家間の戦争で負けている証

アメリカの圧力に負け、日本全体が冷え込み、三菱自動車という超大手ですら『嘘をつかないと生き残れない』くらい追い込まれてしまった。日本全体がこのように追い込まれてしまったのは国際競争のなかでうまく立ち回れなかったからだ。いや、もっと露骨に言えば『国家間の国際戦争で負けた』からだ。TPPが正式に動き出すかこの記事を書いている時点ではまだ分からないけども、日本は国家間の戦争で負け続けている。

企業VS労働者
非正規VS正社員
勝ち組VS負け組

とメディアでは騒がれている。しかし、本当にみるべきは

日本VS他の国

と言う視点で世界全体の豊かさを追求すべきだ。

企業VS労働者
派遣社員VS正社員
勝ち組VS負け組

の果てに今度は『ブラックバイト』まで登場した。その内『働いてる人VS生活保護者』『生活保護VS生活保護をもらいすぎてる人』など果てなく下に下にVSは作られていくだろうけど、みるべきは下の人間がどれだけ搾取されているかではなく、日本全体がどれだけヤバいか、をみないと仮にあなたが

企業VS労働者
派遣社員VS正社員
勝ち組VS負け組

の戦いで勝ったとしても、その勝ち負けを決める土台である日本自体が沈没したらもうおしまいだ。

こんなことを書いてしまうとじゃあ、憲法9条廃止!軍隊を持って国際戦争に勝つパワーを持とう!などと言い出す人がいそうだけどそれもNOだ。意味が無い。国際戦争で勝つ方法は最早核ミサイルで脅してミサイルでドンパチやる時代ではない。金とインターネットで決まる世界になっている。政治家へのロビー活動で積みあげられるお金の量と、インターネットでどれだけサイバー攻撃力を持てるか、という時代になっている。

その視点で見た時、日本は財政赤字とは言え個人の資産が1000兆円以上あり、日本政府単体でみたとしても負債があるとは言え、多くの金融資産を持っている。何よりGDP500兆円あり、日本円という通貨を持っているのだから核ミサイル買うよりもロビー活動とサイバー攻撃力を上げる方がよっぽど安上がりだ。

消費税が増税されるかどうか、延期されるか、これも書いている時点ではわからない。著者である今野さんがNPO活動を必死に頑張ってブラック企業問題に立ち向かうのを応援するためにも、我々が払った税金がどのように日本政府が国際戦争のなかで立ち回る予算として活用されているのか?しっかり考えていきたい。その為にもやはり読書は大事だな、と強く思う。

まあ、要するに最後は『今日も読書!』って事です(笑)

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清水 有高

清水 有高Yukou Shimizu

ビ・ハイア株式会社 代表取締役

一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学でも講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。

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