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2019.12.08 SUN - 読書ブログ

「スタンフォードの自分を変える授業という本」理論がいくら優れていようと事実(データ)に勝るものではない、と著者が書いているのに、事実(データ)が示されてないという不思議な本。



「スタンフォードの自分を変える授業という本」がめちゃくちゃ売れているらしい。2014年の5月17日に発売された同じ本の「図解でわかるスタンフォード大学の自分を変える授業」の帯を見ると世界中で60万部突破と書いてある。もしかしたらもう100万部超えてるかもしれない。

読んでみたらなかなかいい事が書いてあった。おお〜なるほどなるほど、納得しながら1回目読了。でも1回目読了した時から気になっていたことがあります。この本には著者が

「科学と実践に導きだされた見解」

とイントロダクションに書いてあり、更には本書の使い方と示された所に

「私は科学者になるための教育を受けましたが、そのなかで最初に学んだことのひとつは、理論がいくら優れていようと事実(データ)に勝るものではないということでした。」

と堂々と書かれています。しかし、私が読んだ感想は

「この本はいいこと書いてるけど、科学的という割にこの人の書いている文章の根拠、事実(データ)がほとんど示されていないやん!」

と言うものでした。例えば第一章に

スタンフォード大学の神経生理学者ロバート・サポルスキーは、現代の前頭前皮質のおもな役割は、脳に──つまり、あなたに──やるべきことをやるように仕向けることだと言っています。

ケリー・マクゴニガル. スタンフォードの自分を変える教室 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.455-457). Kindle 版.

と書いてあるのですが、これではスタンフォード大学の神経生理学者ロバート・サポルスキーさんが著者とお茶しながら雑談で言っただけなのか、それともちゃんとした研究論文として発表したのかわからないのです。その研究論文がどのタイトルなのかもわからないし、サンプル数はどれだけなのか?いつ行われた研究なのかも書いてない。

しかし、これは序の口です。第一章の他の文にはこう書かれています。

神経科学者のなかには、私たちには脳は1つしかないが心は2つある、と言う人さえいるほどです──あるいは、私たちの心のなかには2つの自己が存在するのだと。つまり、一方の自己が衝動のままに行動して目先の欲求を満たそうとするいっぽう、もう一方の自己は衝動を抑えて欲求の充足を先に延ばし、長期的な目標に従って行動します。

ケリー・マクゴニガル. スタンフォードの自分を変える教室 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.498-501). Kindle 版.

神経科学者のなかには、って誰やねん!さっきはまだ「スタンフォード大学の神経生理学者ロバート・サポルス」という名前が出ていましたが、今度はどの大学の学者なのかもわからないし、下手したら自称神経学者かもしれないし、わからねーよ!と思わずツッコミを入れてしまいました。

しかし、これすらまだ序の口なのです。第一章の他の文にはこう書かれています。

ある研究では、参加者に、「食べ物に関する決断を一日に何回くらい行なっていると思いますか」とたずねました。あなたは何回くらいだと思いますか?実験における回答は、平均で1回でした。しかし、こんどは同じ人たちに実際に記録を取ってもらったところ、結果は平均で227回にもなったのです。つまり、この人たちは200回以上もの選択を無意識に行なっていたことになります―しかも、食べ物に関する選択だけでこれほどの数なのです。ですから、コントロールすべきことを認識すらしていなかったら、自己コントロールなどできるはずがありません。

ある研究て・・・、なに???????私は?マークが10個くらいつきました。他にも第一章を読むだけで「名前は書いてあるけど研究の論文のタイトルは書いてない」「誰かが言ってるのかわからない」「ある研究としか書いてない」などが10個近く見つかりました。

おいおいスタンフォード大学ですよ!世界ランキングで言えば東京大学とかすっとばしてぶっちぎりトップランキングです。そこでこの著者は博士号とってるんです。流石にこれはない。

多分、巻末に参考文献・論文がびっしり書かれてるんだな、と希望を持って巻末をチェックしましたが何も載ってない・・・。いやいや、これは日本の出版社だけで海外の原書を読めばちゃんと載ってるのでは?!と期待して原書まで取り寄せましたよ(笑)そしたら脚注は載ってたけどやっぱり書いてない。

これが60万部売れてるんだ〜私の様にいちいち根拠とかデータを求める方が野暮なのかな?間違ってるのかな?と思ったのだけど、この著者は自分で

「理論がいくら優れていようと事実(データ)に勝るものではない」

と書いてるじゃん。もしかしたらこの本はスタンフォード大学の学者さんからの

「理論がいくら優れていてもちゃんと自分で事実を追い掛けないとダメなんですよ」

というブラックジョークなのかもしれない。それとも、著者はちゃんといちいち根拠や論文を示したのだけど出版社が「それじゃ売れないよ」と言ってシンプルに削ったのか?にしても巻末に参考文献一覧くらい載せるだろう。謎は深まるばかりだ。

いいこと書いてると思ったのに勿体ない。研究者なんだから必ずそこは調べてる(はず)なのだから参考文献・論文リスト載せて欲しかったなあ。ちなみに数十個中1個くらいはちゃんと誰が、いつ、どこで何で発表したのかも書かれているものもありました。100%こんな調子ではありません。この本の名誉のために一応そこは書いておきます。

うーん。今日も読書。

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清水 有高

清水 有高Yukou Shimizu

ビ・ハイア株式会社 代表取締役

一月万冊 清水有高(しみずゆうこう)滋賀県出身。元不登校児、母子家庭育ち。ビ・ハイア株式会社代表取締役。滋賀県立大学人間文化学部卒業。ベンチャー役員、上場企業役員などを経験しコーチ、投資家、経営者として活動中。東京大学を始め各種大学でも講演多数。コーチングと読書を経営に活かし営業利益1億円以上、自己資本比率70%の会社を経営。8年間でスタッフ1人あたりの営業利益を100倍以上にする。

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